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犬猿の仲良し

第13章 亀裂

健「ずっと、何?」

健太は眉をひそめて聞いてくる。
言えない。
もういいや。
学校にも遅れるしちゃっちゃと飯作ろう。
ん?
こいつと今の状況で一緒に飯食うのか?
ちゃっかり鞄も靴も持ってきてるしな。
気まずい。
キャバクラで働いていたらお父さんが客でした、ぐらい気まずい!

璃「とりあえず飯作るわ」
健「…考えないわけないだろ」

俺は動きを止めた。

健「俺は何度も考えたよ。もちろん拒否されることを真っ先に考えた。でも璃玖全然嫌がらねぇじゃん。告っても普通に話してくれるし、だったらこのまま無かったことにして今まで通りにしてたいと思ったんだよ」

健太の声は震えていた。
健太の言うことには一理あった。
きっかけはこいつだったが、その後は俺が悪かったのかもしれない。
本気で嫌がらなかった。
こいつに告白されてきもいと思った反面、嬉しかったのかもしれない。
赤谷健太という人物に好意を抱かれて、俺は調子に乗っていた。
それを拒否したり、好意が逸らされそうになった途端に態度を変えたり。
一番最低なのは俺じゃねーか。

璃「帰ってくれ」
健「…」

一緒に居る資格がないのは俺だった。
健太は、表情も変えずに再び窓から出て行った。
俺はその場に座り込んだ。

璃「…ごめん」

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