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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第11章 ちーちゃんの夏休み♡partⅢ♡






「なんならあの夜、本当にあのまま他の誰でもないオレだけがちーちゃんを攫っちゃえばよかった」


…それは葵くんとベッドのなかでふたり並んでハワイのフォトブックを眺めた夜のコト。


「フォトブック、眺めてた時のキラキラした可愛い顔の続きが見れるのはオレだけでいいのに…」


あの時はまさかこんなことになるなんて思ってもいなかったから、ただ純粋に綺麗な写真を眺めながらその世界に浸って、たわいもないお喋りを彼と楽しんだ夜のコトだ。


『葵くん、アタシここに行きたい』

『いまから?』

『…うん、今から。って言ったらどうする?』

『じゃあホントに今から連れてくよ?』

『え、ちょっ、冗談。葵くんの仕事に穴あけてまでは行きたくないよ』

『うん、知ってる。でもそのときはちゃんと時間つくってあげる』

『うん…』


そんな、アタシと同じ巻き戻した記憶のフィルムを頭のなかに投影した彼のその口調はちょっとだけ拗ねてて…


「オレが…」


───連れてきてあげたかったな…


「…………!!」


そのあとすぐに葵くんに両耳を塞がれてしまったから、実際にアタシの耳に届いたのはざわっと少し強く吹き抜けた海風の音色だけだったけれど、

なんだかすごく感傷的な匂いがしたのは確かで…




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