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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚







「っ…────」


唱えられたそんな囁きに頭の奥の方から甘く痺れが全身に広がって、顔にボッと火がついた。激しく踊る鼓動が密着する彼に聞こえてしましそうな気がして、居ても立っても居られなくなる。

しかも、隠れ蓑のブランケットのなかは外側から密着する渚くんと内側から今にも沸騰しそうな自分とのダブル発熱効果でもはやサウナ状態。無論そんなところに長くなんて潜んでいられるはずもなくて…


「ぅ……、んわっ」


悔しいけどそこからこっそりと顔を出せは、真っ向からどこか真剣な表情で出迎えた渚くんに正面からきつく抱きしめられた。


「なぁ…なんなのアレ。熱出すとお前、あんな風にいつにも増して理性ぶっ飛ぶの?」

「ッ……し、知らな……ン…ッ──」

「…、なら尚更困るわ」

「……っ…ハ…ァ…」

「自覚ねぇほどタチの悪ぃもんはないんだぜ…ッ…」


咄嗟に出た苦し紛れの言い訳は、あっという間にキスの向こう側に消えてしまった。

それは彼の唇を介して混ざり合う甘い吐息に姿を変え、アタシの鼓膜に届けられる。

ましてや触れる唇は酷く優しくて、聞かされる声は酷く甘くて柔らかい。

こんなんじゃ、悔しいのだって、恥ずかしいのだって、どこかへ行ってしまわないほうがどうにかしてる。


だからもう、

このオトコにあげられた熱はもう一生下がんないんじゃないかって…

むしろこのまま下がらなくてもいいじゃないかって…

麻痺した脳みそがそんなおっそろしいことを考え始めてしまうほど、完璧に風邪より渚くんにお熱とか。






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