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ぜんぶ二人ではじめて

第39章 解禁日

「ナナちゃんのそういう考え、大好きだよ。ナナちゃんは、俺の心にずっといるよ。野球始めて、不安?」

抱き締めながら聞く。

「ううん。ちょっと寂しいけど、不安ではないよ。ムリしないか、心配だけどね。」

「そっか。ちょっと寂しいの?」

「うん。だって……部活……フルート吹いてる時、隣にいないから。」

「そうだね。俺も同じだよ。でも、ナナちゃんが応援してくれてるし、頑張るよ。自分でやるって決めたことだしね。」

「うん!いっぱい応援するよ!」

「ありがとう。それに俺、ナナちゃんのフルートの音色なら聞き分けられるからね。すぐに分かるよ。」

「うそ?」

「ほんと。ナナちゃんの声も。ちゃんと聞こえてるよ。」

「そうなの?この前の試合の時も聞こえた?」

「聞こえたよ。俺がホームラン打ったあと、フルート、吹き忘れたのも分かってたよ。」

「すごい!ヤスくん!!」

「それだけ、ナナちゃんに夢中なんだよ。」

ナナちゃんがドキドキしてるのが分かる。

密着した体に少し距離をとる。

見つめる時間。

ジッと……

見つめると数秒で、濃い茶色の瞳がうるうるしてくる。

涙袋にうっすら涙が溜まる。

すると、耐えきれないって表情で目を反らす。

恥ずかしがり屋だから、仕方ない。

「可愛いよ、ナナちゃん。」

頬を掌で包んで頬にキスをする。

チュッ……

「ヤスくん……」

か細い声で呼ぶ。

「好きだよ。」

次は、瞼にキスをする。

チュッ……

親指で溜まってる涙を掬う。

「私も。好き。」

心を込めて伝えてくれる。

ちゃんと、伝わってくる。

もう一度見つめて、

「愛してるよ。」

ちゃんと、伝わってるかな?

チュッ……

唇にキスをする。

チュッ……おでこに。

チュッ……頬に。

チュッ……鼻に。

チュッ……顎に。

チュッ……首に。

そして、もう一度唇に、今度は深いキスをする。

「んっ……はぁ……んっ!」

ナナちゃんの吐息が漏れる。

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