
完璧少女の苦悩
第1章 そんな私
「愛利ちゃん中学の卒業式ぶり。元気だった?」
「愛利が元気じゃないわけねーだろ」
手を振り返しながらそう言う二人に、愛利が「もう!」と嬉しそうに笑った。ドMかって。
そして、二人が来てから周りの女子がザワつき始めた気がする。
好奇心旺盛な目線も気にせず愛利をからかって楽しんだり「綺麗な校舎だねえ」とか言ってキョロキョロしたりしてるから、慣れたもんだよな、と思う。
「はあ~。ほんとかっこいい……いつ見てもかっこいい~」
保護者用の受け付けをしに行った二人の背中を見ながら、愛利が呟いた。
「そうかなあ? 光汰くんは確かにカッコいいかもしんないけど……」
「なに言ってんだこの子は!」
「ぁたいっ」
べしっと豪快に頭を叩かれた。
