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[現代版] 天使と悪魔

第5章 記憶の連鎖②

・宮田side

でも―



玉「なに言ってるんだよ」

宮「タマ」

玉「そんな事あり得ないでしょ」

宮「けど俺達は」

玉「前世とか、あるのかも知れないけど天使と悪魔?バッカみたい」

宮「タマ!」



その翌日、思いきって話してみた俺に返って来た言葉は拒絶。

いったい何を見たんだよ?

それからもキタミツの傍でベッタリ離れずにいるタマを見て。

横尾さんがボソッと呟く。



横「もしかしたらあいつ」



キタミツの最期を見てしまったんじゃないかと。

まさか、そうなの?



玉「ねぇミツ」

北「んっ?」

玉「ずっと、一緒だよ」

北「当たり前じゃん、どうしたんで?ニコッ」

玉「絶対、俺から離れちゃ嫌だからな」

北「俺はタマが大好きだかんな離れたりなんかしねって」

玉「本当に?」

北「あぁ ニコッ」

玉「くっ」



ギュッ!

しがみつきキタミツの肩に顔を埋めた。

タマの横顔から見えたのは涙で潤んだ瞳。

ズキン―

俺の知らない、タマの中にある記憶がその心を苦しめているんだ。

それを見て思う。



宮「どうしたらいい?横尾さん俺どうしたらいいわけ」

横「待つんだ宮田」

宮「待つ?」

横「裕太が俺達に心を開いてくれるのを」

宮「開いてくれるかな?」

横「仲間だろ分かってくれるさ、フッ」

宮「横尾さん」

横「大丈夫あいつならきっと気づく」



“お前の想いに”

そんな俺に横尾さんはそう言ってくれ。

待つよタマ…

タマが心を開いてくれるのを俺。

信じて待つ。

だから独りで苦しまないで俺が傍にいるじゃん。

その苦しみ辛さ、全部受け止めてあげるから。

横尾さんが、そうしてくれたみたいに俺も。

ときの流れの中で悲しみだけが俺達の間に。

切ないまでに、心を震わせ先行してく。

過去と現実との狭間で―





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