
泣かぬ鼠が身を焦がす
第36章 一生添うとは
食事が終わると拓真さんは俺をひょい、と持ち上げて歩き出した
「ぅわ!? 何!?」
つーかちょこちょここれされるけど、軽々と持ち上げられすぎるのも考えもんだよな
そして運ばれたのは寝室
そこにはご飯を用意するついでに敷いてくれたのか綺麗に整えられた布団が2組
その片方に俺を下ろした拓真さんは、当然隣の布団に移動するなんてことはせず
「……っ」
俺の上にのしかかってきた
頭の両側に手をついた拓真さんの顔との距離は10センチもない
その距離だと、名前を呼ばれるだけでも反応してしまう
だって!!!
男の俺から見てもかっこいいし!!!!
何もしないこの時間が居た堪れない!!!
「純」
「! な、なに……」
荒ぶる俺の内心とは違って拓真さんは至極真面目な面持ち
だけどそこから放たれた言葉は
「今日は純からキスしてくれ」
だった
「……は?」
当然聞こえてるけど、言葉の意味がうまく理解できなくて聞き返す
そして返ってきたのは
「キスして」
4文字まで短縮されたキスを強請る言葉で
「俺から……?」
そ、そんなの
無理……じゃね……
