泣かぬ鼠が身を焦がす
第34章 旅は道連れ
今の時間的にはまだ夕日と言うには早いけど、それでも海がキラキラ光って綺麗だ
夕日ってなったらもっと綺麗なんだろうな
「大浴場とか、広いお風呂っていいよね。手足伸ばして入れるのってすごい贅沢感ある」
いや、いつものお風呂場も相当広いんだけど
「そうだな」
はしゃぐ俺を見て笑みをこぼした拓真さんは、俺に手招きした
「?」
なに? と寄ってみると、ベランダの端っこを指さされる
「あっ」
「だが、大浴場ではなく小さい湯船もたまにはいいだろう?」
拓真さんが指した先には、部屋に併設された個室露天風呂
しかも源泉掛け流しなのか、ずっとお湯が出っぱなしになってる
「なにあれ! すげー!!!」
「部屋からも風呂に入りながら夕日を眺められるんだ」
「へー!」
白い湯気を立てながら揺れる水面が外の光で光ってまたそれも綺麗
つーか個室露天付きの部屋って結構いい値段するんじゃないのか
…………うぅ
なんか考えすぎて頭が痛くなって来た
お互い外を見てたからか幸い拓真さんに俺の不調は気付かれず
「日が沈むまでまだあるし、お茶でも淹れるか」
と拓真さんが部屋に置いてある緑茶を淹れてくれた
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