
泣かぬ鼠が身を焦がす
第26章 嘘八百
前戯どころか、慣らす余裕もないとか
どこの猿だよ
そう思ったけど、言ったら確実に火に油だし
手足縛られてる俺に出来る抵抗はこれ以上ない
から
俺に出来るのは
痛みに耐えることだけ
「あが……っ!!! ゔ、ぐぅぅ……う」
「はぁ、は……っ、キツいぞ、もっと濡らせ……!!」
無理に挿入してきて無茶なこと言うなよ
これ血出てないか
「……早く濡らせ!」
動きにくいことにさっきの苛立ちに更に苛立ちを追加したのか、こいつは分厚い手のひらで俺のケツをバシバシ叩いてくる
痛ってぇよ
そんなんで濡れたら俺とんだドMじゃねぇか
そもそも俺は女じゃねぇんだぞ
それでも、頑張らなければ辛いのは俺
こいつは俺の父親じゃない
ウリしてた頃の相手の1人だ
知らないおっさんが相手だったこともあっただろ
ひたすら自分の感覚を無にして記憶のひきだしを漁る
快感なんて少しも感じられないけど、そんな経験はなくもない
そして俺の願いが通じたのか、努力が実ったのか少しずつ腸液が滲んできた
「ははは……やっぱりお前は淫乱だなぁ? こんな!抱かれ方で! 濡らして!」
「……っ」
