泣かぬ鼠が身を焦がす
第26章 嘘八百
良かった、と安心して椅子に腰掛けると
「!!」
どろ、と何かが俺の中から出て行く感触
それが何かなんてわかりきってる
「くそ……っ、掃除ぐらいしろよ……」
中に出されまくったあいつの精液が俺の中から溢れた感触に、沸々と怒りが湧き上がった
洗わなきゃ、と手を伸ばすと触れるぬるりとしたもの
ほんと、やだ
もう……死にたい
暫く忘れることができていた俺の本当の現実に久しぶりに直面して、俺は完全に打ちのめされた
浴室で疼くまって何も考えないように努めていると、廊下の方から誰かの話し声が聞こえてくる
脱衣所を挟んでいるせいで随分と小さい声だけど、しんとした浴室には少しだけ響いて聞こえた
「ーーーまた奥様いらっしゃらないの?」
「そうみたいですよ。総理大臣の妻のくせに男遊びなんてすごいですよね」
「でも、大臣も大臣じゃない。今日来たあの男の子、あれって…………」
「えーー!? そうなんですか!?」
「ちょっ……しーー……声大きいってば」
母さんは、「また」って言われるぐらいここにいないことが多いのか
あと俺のこと、俺にされてること
わかってる人もいるんだ
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