泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
でも朝からヤろうなんて言いにくいよなぁ
拓真さんも仕事だろうし
俺がもんもんと悩んでいると拓真さんの目が薄く開いて、手をパタパタと動かし始めた
そして俺の存在を確認して安心したみたいで、「ふ……」と息を吐く
「おはよう、拓真さん」
「あぁ。……ん、おはよう」
身動ぎしながら俺を抱き直した拓真さんは、完全に目を開けて微笑んだ
でも俺の目は拓真さんの笑顔じゃなくて弧を描いた唇に行く
拓真さんは気づいてないけど、キスしたんだよ
俺の唾液とか付いてるんだよ
なんて変態くさい考えが浮かんで、1人でふふふ、と笑い声を漏らす
「どうした?」
「んーん。何でもない」
変な笑い方しながら拓真さんを伺ってると、拓真さんは訝しげな顔をした
「……寝ている間に俺が何かしたか? それとも純が何かしたのか?」
「んー……? んー……」
曖昧な答えを繰り返しながら拓真さんに戯れつく
拓真さんはまだ何か言いたげだったけど、俺が戯れついてるのに答えてくれた
「起きるか?」
「拓真さん仕事の時間やばい?」
俺の質問に、拓真さんは1度身体を起こしてとけいを確認した
「……いや、まだ大丈夫だ」
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