泣かぬ鼠が身を焦がす
第22章 一に看病、二も看病
また目を瞑って、寝たって自分で認識出来ないぐらい一瞬眠る
そんで、気がついた時には熱が結構上がってるっぽかった
熱い
辛い
喉乾いたな、と目を開けるとぼやけた視界には人影がある
「た、くま……さ……」
「目が覚めましたか?」
「……ぁ……」
拓真さんだと思った人影は伊藤さんで、ベッドの横に椅子を持ってきて座っていた
「社長に言われて参りました。熱が上がってしまったみたいですね。ご飯は食べられそうですか?」
「……ん……気持ち悪い……」
「気持ち悪くても、食べて頂かないと薬も飲めませんので頑張って食べて下さい」
仰る通りです
俺がもぞもぞ動いて身体を起こそうとすると伊藤さんが手伝ってくれる
なんとか身体を起こすと、伊藤さんがお粥の入っているらしい土鍋を開けてくれた
ふわ、と中華粥の匂いがする
朝と味変えてくれたんだ
美味しそうな匂い
これなら食べれそう
そう思って土鍋を受け取ろうとすると、俺の想像を裏切って伊藤さんがレンゲでお粥を掬った
「え……」
「どうぞ」
「あ……はい……」
大人しく差し出されたレンゲに口をつけると、ほんのりごま油の匂いが鼻の中を通る
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