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泣かぬ鼠が身を焦がす

第19章 七転び八起き


部屋に入ると、拓真さんは俺をベッドに座らせて離れていった

温もりがなくなって、少しだけ寂しい

そんなことを考えながら自分の膝を眺めていると、拓真さんがテーブルの方から戻ってきた


「純、これ」
「……あ…………」


そして渡されたのは俺が拓真さんに送った誕生日プレゼント


「もう1度、渡してくれないか」
「……」
「……それとも俺にはもう、これを受け取る権利はないか……?」


黙る俺に、しゅんと落ち込む拓真さん


「そ、そんなことない……っ」


俺は慌てて拓真さんの手からプレゼントを受け取った


「……拓真さん、誕生日おめでとう」


受け取った包みをお祝いの言葉と共にまた拓真さんの手に戻す

拓真さんは見たことないぐらい嬉しそうな顔で笑った


「あぁ、ありがとう。今までもらったプレゼントの中で1番嬉しい」


ズルいな
そんなわけないのに

言葉1つですごい嬉しくなっちゃう


「開けてもいいか?」
「……ん……」


カサカサとビニールの音がして、中から俺の作ったキャンドルが出てくる


「綺麗だ。市販のもののように見える」
「まだまだだけど、ヒトミさんたちに協力してもらったから、そう言ってもらえて嬉しい」

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