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泣かぬ鼠が身を焦がす

第18章 遠くなれば薄くなる?


「……あの、それ……」


喉の奥が締まって声が上手く出ない

それでも絞り出した声に、拓真さんはまた何でもないような態度で


「あぁ、誕生日プレゼントらしい」
「そっ、か……」
「まぁお前は俺の誕生日なんて知らなかったと思うが」
「……」


知ってた
知ってたよ

だってそのために……っ


「どうした? 俺はこれからまた仕事なんだ。何かあるなら言え」
「……」


あまりに冷たい言い方に、俺の口からは言葉は出なくなってしまった

拓真さんは俺を一瞥してないならいい、とでも言うようにスーツを着替えている


スーツ……昨日と一緒なのって

なんか

浮気とかじゃ

ない

よね




でも、俺ぼんやりしてる場合じゃない
誕生日のこと聞いたんだから、今渡さなさいと

聞いてから用意したなんて言われたら困る……!!


俺は準備を進める拓真さんを尻目に、隠したプレゼントを取り出した


「拓真さん……あの、これ……」
「なんだ? これは」
「誕生日プレゼント……拓真さんに」
「……」


俺が差し出した紙袋をじっと眺める拓真さん


これで機嫌直して
誕生日なんだから、もっと幸せな顔して欲しい

というか、俺が
させたい

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