泣かぬ鼠が身を焦がす
第14章 鼠の志奪うべからず
朝起きた時ソファに寝ていたということは、怒っているだろうな
情けない理由を追及されるのが怖くて、朝何も話さず出てきてしまったことが悔やまれる
そんなに、1人の時間が欲しいのだろうか
あの部屋に中からかかる鍵をつければ満足してくれないか?
「はぁ……」
「社長、随分溜息が多いようですが何か問題がございましたか?」
俺が珍しく何度もため息をついたからか、助手席に座っていた静が心配そうに声をかけてきた
「いや、悪い。個人的なことだ」
「左様ですか。私に出来ることがあればなんでも仰って下さいね」
「あぁ」
このままでは仕事に支障をきたしてしまいそうだ
「静」
「はい、なんでしょう?」
「…………朝、じ……ノラの様子に何かおかしいところはなかったか?」
「いえ、特には」
「そうか。…………昨日体調不良を訴えていたんだが、朝は時間もなく話せなかったから心配だったんだ」
それらしい言い訳を付け加えると、静は純の様子を細かく思い出すように思考する
「そうですね……顔色は確かに優れていなかったようには思います」
「そうか」
「医者を手配しますか?」
「……いや、明日まで長引くようならそうしよう」
「かしこまりました」
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