泣かぬ鼠が身を焦がす
第8章 網の目にさえ
「自分だけに見せる姿、なんて女子は弱いんだよ〜」
「……」
俺は女子じゃないけど、なんつーか
杉田さんがああやって構うのが俺だけだったら
嬉しー…………かも
「それにしても、どうしたの急にそんなこと聞いてきて。本当に恋に目覚めちゃった?」
「は!? なっ!? そんなわけないじゃん!!」
「え〜?焦っちゃって〜。怪しいな」
「違っ……!! さっき見てたドラマがどれもそんなストーリーだっただけ!」
ちょっと!!!
にやにやしないでよ!?
「わかったわかった」って笑う茜さんはぜっっったいわかってないから!!!!
「恋の病に効く薬はないんだよノラ」
「ば、馬鹿じゃないの!?違うって言ってんじゃん!!!」
結局茜さんの誤解は解くことが出来ないまま、「また後でね〜」と部屋を出て行ってしまった
もーー!!
女の人って噂好きだから杉田さんとか伊藤さんとかに話してなければいいけど……
くそー、ドラマなんて見たからこんなことに!
とは思いつつも、1度見始めてしまったら気になるものは気になるので
昼食を食べてからも俺はテレビの前に陣取って、ドラマの再放送を見てしまったのだった
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