
イケメン夜曲 ~幸せの夜曲~
第6章 思惑
彼は穏やかに微笑した。
「申し遅れましたね…私は、クリスです。この教会の牧師をしています。」
テリザは数回瞬きをして、彼を見上げた。
「クリスさん…、ですか。」
テリザは小さく微笑んだ。
「私はテリザです。」
「レディテリザ…」
ふっと目の前に影がさして、クリスが少しかがんで顔を覗き込んだのだと気付いた。
「夜道は危険ですから…もうこのような時間に出歩いてはいけませんよ?」
「っ……」
整った顔立ちが近くなり、鼓動が跳ねた。しかし、クリスはふと眉を寄せた。
「顔色がよくありませんね。」
失礼します、と言われ、ぴたりと大きな手の平が額に当てられた。
