
不透明な男
第13章 胸裏
カランコロン
雅「あ~すいません、そろそろラストオーダー…って、大ちゃん」
智「ふふ」
家に帰って取り敢えずシャワーだけしてきた。
もう遅かったけど、なんだかもやもやして落ち着かなかったんだ。
智「遅くにごめんね?」
雅「そんなの全然いいよっ」
俺の顔を見た相葉ちゃんは、なんだか少し考えながら酒を作った。
そしてそれを俺の前に置くんだ。
雅「はいっ、どうぞ♪」
智「わ、なにこれ。綺麗だな」
雅「でしょ? その色、元気出るよ」
え?と聞く俺に、相葉ちゃんはニコッと笑顔をくれる。
雅「味もいいんだよ。体の中からパワーが出ちゃうんだから」
智「ふふ、いただきます」
もやもやして気持ち悪かった。
心臓がチクチクして、きゅっと締まった。
その変に苦しい感覚にいてもたってもいられなくて、俺は相葉ちゃんの顔を見に来たんだ。
雅「もうお客さんもいないしさ、ゆっくりしてってよ」
智「ふふ、大丈夫だよ。相葉ちゃんの顔見に来ただけだから」
そうなの?とキョトンとするかと思ったら、俺の顔をじっと見てきた。
雅「ねえ大ちゃん」
智「ん?」
雅「なんでも言っていいんだよ?」
智「へ?」
雅「俺、頼りないかもしれないけど」
いつも周りを見て笑顔を絶やさない相葉ちゃんが、真顔で俺に言う。
雅「もっと頼ってよ」
智「相葉ちゃん…」
俺どんな顔してるんだろう。
相葉ちゃんは俺を見て、凄く心配そうな声を出す。
智「頼ってるよ」
雅「どこが…」
智「だって今も、さ」
雅「今?」
智「相葉ちゃんの顔見に来たんだよ?」
雅「うん?」
心配そうにしてたのに、途端にキョトン顔をした。
智「おれが、どれだけ相葉ちゃんの笑顔に助けられてると思ってるの?」
雅「えっ」
驚いた様な顔で、顔を少し赤くする。
智「ふふっ、そういうとこも」
雅「えっ、え~、ど、どんなとこっ」
あ、ちょっと笑ったな
智「ははっ、やっぱり相葉ちゃんの笑顔は最高だよ」
雅「もっ、もう、大ちゃん!」
照れながら笑うその顔も凄くいいよ。
チクチクした心も、少し和らぐんだ。
いつも頼ってるさ
智「いつもありがとね? 本当、感謝してる」
相葉ちゃんだから頼れるんだ
ニノの事も、頼むよ?
