
ツインテールの君
第1章 聖夜の宴のデザートは?
「アリス」
「っ…………」
腕がぐいと下方に引かれて、アリスは布団に転がり込んだ。
野生のようなキスがアリスの息を塞いだ。
「んっ!!」
イオリの慣れた指先が、アリスの寝間着をはだいてゆく。
ちゅっ……ちゅ、ぢゅるっ……ちゅ…………
みるみる一糸まとわぬ姿になったアリスを、今度はイオリが組み敷いた。
ただ顔を上げただけで、焼けるような熱が頰に集う。
くちゅ…………
「淫乱」
ずちゅっ…………
「あああっっ」
僅かな痛みを伴って、アリスの潤みがイオリの指をのみ込んだ。
前戯もなしに開かれる身体。たまらない。臈たけた女を犯した後の、自ら犯される快楽は、一般にスタンダードと定義づけられる淫らごとより、遥かにアリスを魅了した。
恥丘の内側を暴れる指に食いつくように、あるじの意思を離れた腰がシーツを叩く。
アリスは自らイオリに腹を押しつけて、自分をとりこめるキスの檻に悲鳴を上げる。
「あんっあんっ……やぁぁっ……やんっ!……ああっ……」
「いやらしいのはアリスだろう?」
「ひぅぅ……あっあん!」
「全然触ってないのにどろどろになってる。……指、ふやけそう。生き物みたいに食いついて、そんなにお腹空いてるの?」
「やっ……あんっ……ダメっ、もぉっ……」
乳首をつねり上げられながら、へその周りをキスが啄む。
イオリがアリスを躍らす指を増やした。
アリスは水に打ち上げられた魚同然にぴくぴくたわみ、熱に浮かされたようにイオリを呼ぶ。
二十二年もの間、こんな快楽を知らなかった。
他人を求め、求められる歓びは、イオリからでなくては得られなかった。
「あっ……そこっ……そここすってぇぇぇっ……!!」
女子の扱いに慣れている。そのくせアリスに出逢うより前、イオリには特定の恋人のいた感じがなかった。
加虐と被虐。
相反する快楽は、ひとところにある。
二人でこそ知り得たことだ。
