
アイツまで徒歩5分
第9章 どちらかと言えば……?
「あっ〜…ママ…陣ヶ岡さん…仕事が入って…出てっちゃって…
あっ!!ラーメンは俺が二人分食べますから!!」
「あら…そ〜なの?
陣ちゃんったら…ボクちゃんを一人にするなんて…後で、お尻ペンペンね!!」
お尻ペンペンって――――…
「でも…麺伸びちゃうし〜…そんなの美味しさ半減よね〜?」
ママは、ラーメンをテーブルに置くと…ため息をつく…
「すみません…」
「ボクちゃんが謝る事じゃないわよ!!
いいわよ!これ、私が食べるから、ボクちゃんは、気にしないで一人前を堪能しなさい!」
そう言うとママは、一つをお盆に乗せて個室を出ていった…
伸びた麺は…食べさせられないか……
こだわってるなぁ…
ラーメン屋…やればいいのに…
俺は、ラーメンに向かい手を合わせて「いただきます」と一礼した…
「陣ヶ岡さんと――――…
食べたかったなぁ…」
今日もママのラーメンは、超絶うまかったけど…
楽しくなかった…
個室に一人だし…
疲れているのもだし…
常務と何を話しているのかも気になるし…
やっぱり…今日のラーメンは…
美味しいけど…
味気なかった……
陣ヶ岡さんにも…メンマ…食べてほしかったな…
