
どっちもぼっち。
第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム
「せき、はん君?」
そんな頭沸いてそうな家系に産まれてねえよ。
「せきがはらくん?」
んな天下分け目な名字も願い下げだっつの。
「せんじょうがはらさん?」
悪意は君の専売特許なのかな。
「どこまでで~も続く~♪ この空耳は~♪」
「終わりは無い♪ 永遠に、違って――」
「意地悪で憎たらしいその膿のような心を追い込んだら引き込もれ」
急に歌うなミュージカルか。ったく、この女。ひとのご先祖さまが代々受け継いできたものをいい加減にボキャぶり、ひたぎクラブ編OPの替え歌を披露することで、
『自己紹介されたところで覚える気ねーから思い出せねーよ』の意を表しやがって。えらっそうに。友達もいないくせして。
