
どっちもぼっち。
第1章 みかん色に染まりたい柚と染まるきのないライム
たとえば休み時間。こちらが自習に興じるフリをして、まじめなクラスメートを演じてる中……堂々と窓の外をぼーっと眺める、その姿勢。
体育の時も。教師からの地獄の宣告に、こちとら居るはずもない『仲のいい人』を探しウロチョロすることで目立たないよう徹してる中……端っから無関心にぼーっと突っ立つ、その姿勢。
あげく放課後は帰り道を共にする相手がいないことを際立たせないため、多少活気のある男子グループのうしろにくっついて教室を抜け出し、時に白い目で睨まれているもうひとりがいるのにも関わらず――
「マイっペースにほかの連中が帰る時間まで帰りじたくをしているその仏頂面のほうが、よっぽど目に悪いンじゃね?」
