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☆ラリマーの扉☆

第18章 オレ様王子と感情薄き王女  ~脱出~

ナイフを取り上げ、ホルリを抱き締めた。

「殺すことなんてするな」

客はただ、オレらを冷たく見つめていた。

「もう…やめてください
得体の知れない貴方は私に何を……」

この街から逃がしてやったのに
どうしてそんなことを言うのだ、彼女は…

「お前の望み通りにやったんだぞ?」

キレそうになる。

望みを忘れたのかな、彼女は。

…自分だけ助かりたい悪の望みを。


ホルリをつきとばした、オレ。
頭をぶつけてケガしそうなくらいの力だ。

「いたっ…」

「なぁ、分かってんのか?」

脅す、最低なオレ。

自分は何をしているのだというくらいに。

「わか……んんっ」

わかんない、と言おうとしていたのだろう。
その途中で口を塞いだ。

「自分だけ助かる願いを!」

「や……やめっ!」

包丁を出してかかってこようとしたホルリは
涙を流している──────…

かよわき女め…


そんなに嫌かな、願いが叶ったと思えば。

……しかたない。

包丁をホルリに握らせた。

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