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☆ラリマーの扉☆

第16章 狂愛王子と捕らわれしハニー3

「……っ」

悔しさを募らせるさりな。

もう捕らわれたくないのに……なんで。

私はまたこの、愚者の王子に捕らわれるの?

この王子の正体は冴えないオジサンの顔なのだから────…

夢の世界で捕らえられていた時に見えたあの顔は気のせいとも言えない。

「冴えないオジサンめ」

腕の中にいた私は、そう言った───…

「ぼくは王子だよ。何を言うんだい?」

美形なわけない、こんなの…

「あなたの正体よ…」

「ふふ……正体を暴かれてしまったか」

王子は腕を放した。

指をパチンと鳴らしたその時……



冴えないオジサンだった。


「っ……」

夢で見たあの顔だ………


「さりな…」


オジサンから逃げようとするさりな。

急いで出なくちゃとあせる、気持ち…

教会の扉に手をかけようとしたが
開かなかった。

「えっ……」

ガシャガシャといい、どうしようもない
…。

「開かないよ?ふふっ」

あざ笑う男に…
さりなは恐怖心が芽生える。

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