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☆ラリマーの扉☆

第16章 狂愛王子と捕らわれしハニー3

……だが
右にスッとかわされた。

かわされても
さりなはその一点を見つめ
切り裂こうとする。

だけど、当たらない。
瞬間移動ばっかりしてるような気がする……

「……ははっ、当たらないね。弱くなったのかな?」

なかなか命中しないさりなを
あざ笑う。

「だまれ!」

精神が狂ったように刃物を振り回すさりな。

どうか─────…

当たれ──────…

そう祈りをこめても
当たらない。

疲れないのか?というくらいな、瞬間移動ばかり……… 

「…まぁ刺しても殺せないよ。とにかく落ち着こうかハニー」

王子はさりなを抱きしめる前に刃物を取り上げた。

ものすごく強い、磁石のような力が、伝わってきた。

「暴れちゃだめだよ?ハニー」

王子は刃物をふところにしまい、さりなを抱きしめる…

「夢でも現実でも愛おしいや…このままでいてよ。ハニー…」

もう彼に身を任せてしまっている。

……受け止めなくてはいけない彼の狂愛。

またわたしは彼のトリカゴになるんだ……

彼の腕の中

さりなは絶望の涙を流したのだ───…

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