
素晴らしき世界
第31章 向かい合わせ
「いつ現れるんだろうね?」
大野さんの声に、
過去から現実に引き戻される。
悲しい過去。
だけど嬉しい過去。
「相葉くんが好きになる人」
「いつなんでしょうね……」
頬杖ついて考えてみても、浮かぶのはあの人だけ。
「こらこら、その人はダメなんでしょ?」
俺の頭の上で手を左右に振ってかき消そうとする。
「視野を広げないと。
案外……すぐ近くにいるかもしれないよ?」
「近くにですか?」
「例えば……」
ピコーン…
話を遮るように大野さんのスマホが珍しく鳴った。
「えぇー、マジかぁ」
メッセージを確認した瞬間、ガクーンと項垂れる。
「どうしたんですか?」
「お見舞に行こうと思って連絡したら
明日、退院なんだって」
「あぁ、出産後の入院って案外短いんですよね。
弟のお嫁さんも退院が早かった気がします」
「これ……どうしよう。まだ子育てに
慣れてない時に家に行くのもな……」
可愛くラッピングされた袋を見つめる。
大野さんの言う通り出産後しばらくは
慣れない子育てで大変だし、買った服も
サイズから考えて早めに渡した方がいい。
「じゃあ、今から行ったらいいじゃないですか?」
明日退院なら尚更、今日の方がいい。
「そうだな。じゃあ、行くか!」
「ぜひ、そうしてあげてください。
俺はデザート食べてから帰るので」
「何、言ってんの?一緒に行くよ?」
立ち上がると伝票を手に取った。
「えっ?いや、俺は……」
「だってさ、1人で産婦人科なんて緊張するじゃん」
「俺も初対面の人とは……」
「大丈夫大丈夫。ほら、行くよ」
俺の手を取ると、
そのままお会計へと連れていかれる。
「やっぱり俺、帰りますよ」
「いいから。あっ、一緒に払います」
サッと財布から現金を取り出して支払った。
「だから、ついて来てね?」
「……わかりましたよ」
ニコッと笑う大野さんに
これ以上の抵抗は無意味だと察した。
大野さんの声に、
過去から現実に引き戻される。
悲しい過去。
だけど嬉しい過去。
「相葉くんが好きになる人」
「いつなんでしょうね……」
頬杖ついて考えてみても、浮かぶのはあの人だけ。
「こらこら、その人はダメなんでしょ?」
俺の頭の上で手を左右に振ってかき消そうとする。
「視野を広げないと。
案外……すぐ近くにいるかもしれないよ?」
「近くにですか?」
「例えば……」
ピコーン…
話を遮るように大野さんのスマホが珍しく鳴った。
「えぇー、マジかぁ」
メッセージを確認した瞬間、ガクーンと項垂れる。
「どうしたんですか?」
「お見舞に行こうと思って連絡したら
明日、退院なんだって」
「あぁ、出産後の入院って案外短いんですよね。
弟のお嫁さんも退院が早かった気がします」
「これ……どうしよう。まだ子育てに
慣れてない時に家に行くのもな……」
可愛くラッピングされた袋を見つめる。
大野さんの言う通り出産後しばらくは
慣れない子育てで大変だし、買った服も
サイズから考えて早めに渡した方がいい。
「じゃあ、今から行ったらいいじゃないですか?」
明日退院なら尚更、今日の方がいい。
「そうだな。じゃあ、行くか!」
「ぜひ、そうしてあげてください。
俺はデザート食べてから帰るので」
「何、言ってんの?一緒に行くよ?」
立ち上がると伝票を手に取った。
「えっ?いや、俺は……」
「だってさ、1人で産婦人科なんて緊張するじゃん」
「俺も初対面の人とは……」
「大丈夫大丈夫。ほら、行くよ」
俺の手を取ると、
そのままお会計へと連れていかれる。
「やっぱり俺、帰りますよ」
「いいから。あっ、一緒に払います」
サッと財布から現金を取り出して支払った。
「だから、ついて来てね?」
「……わかりましたよ」
ニコッと笑う大野さんに
これ以上の抵抗は無意味だと察した。
