
虹色の精霊に導かれて…
第93章 人智の知らぬ所
{ auditus(アウディトゥス)… }
(聴聞者)
なにもない空間に声が響く
「はい ここに」
白い衣の者が現れる。
{ “utage” yori modotta }
(“宴”より戻った)
声の主が 白い衣の頭上に移動する
「おかえりなさいませ」
白い衣の者が片膝を付き返事をする。
{ yoki “utage” de atta }
(良き宴であった)
「わが友『擴』にかわり 御礼を申し上げます」
深々と頭を下げる白い衣の者。
{ ‘Johnny’ha yoi ‘ Fravahr ’ wo erabi yoki na wo ataeta
(‘ジャニー’は 良い‘フラワフル’(魂)を選び 良き 名を与えた)
tukerareta kora ha omosiroki kaodeatta }
(付けられた 子ら は 面白き 顔だった)
くくっと肩を揺らし、高揚した声が空間に広がる。
「わたくしたちも『嵐』と聞いて 正気か と 驚きました」
{ soredake “sairai tikasi” to iu koto }
(それだけ『再来 近し』という事)
「再来…また『席取り』がおこるのですね…」
{ sekai no tituzyo no tame tituzyo no tame touta wa hituzenn “アレ”ha touta deha nai }
(世界の秩序の為 淘汰は 必然 だが アレは淘汰では ない)
「健全な淘汰を願うばかりですが、嘆かわしい事に 自らを『強き者』と傲(おご)る者が蔓延っております」
{ soremo mata “hito”to iu mono }
(それも また 人という者)
エレクトゥスになりえた 其方が
次の世を背負う 子らを護り育てて 争いを食い止めて 今世があるというに
人 は なぜ 繰り返すのであろうなぁ
「エレクトゥス様 いかがなさいました」
{ sibasi sagare }
(しばし 下がれ)
「かしこまりました。」
白い衣の者が後ずさりしながらその場から離れていく
{ いちの おまえに あいたい }
たどたどしい 日本語が 寂しく響く
