テキストサイズ

虹色の精霊に導かれて…

第10章 羽と尾と鼻と目と耳

櫻井視点

(手招きされて、部屋に入るって…

 なんか、懐かしい♪

 あの時は…姫に睨まれると、怖かったから、
『みなさんが…』って言ったけど、ちょっと、嬉しい俺がいたんだよなぁ)


智くんの部屋に入ってすぐ、電気を付ける。

(消した『俺』がまたつける♬)

スイッチを触っただけで、顔が緩む。


(は!
 こんな顔…誰かに見られたくない)
智くんに見られないように、そっと顔を叩く。



(ニノが見てたらネタにされるだけだもんね…

 そうだ。

 ニノができない、荷造りを『俺』がしてあげよう♪)


O「ねー、ちょっとこっち来てよぉ~翔ちゃん~話をしようよぉ」
 ソファをバンバン叩いている智くん。

「先に準備するから…智くんはそこに居て!!」


O「はーい♬お願いしまーす♪」
 ふふっと笑う声を上げながらソファーに沈み込んでいく。


(まったく、あなたという人は…どんだけキュート極める訳?


 初めて会ったあのギラギラした輝きは、ドコに行ったのだろう?


 でも…
 はじめから、あったのかも

 人を引き付ける 不思議な魅力

 まー 俺も、もれなくソレに魅入られた一人だけど…)


「替えのTシャツと下着はこの袋ね?
 靴下はどれにするの?移動はサンダルでしょ?」

智くんの方に体を向けると、ボーっと焦点のない目している。


(あ…寝そうだ…)


 ショウ ソバニ イル…


智くんのいつもと違う『声』が聞こえた。


「智くん?どうしたの?傍にいるよ?」


智くんの口が小さく動いている。


(どうしたの?また…ダレかに、攻撃されてるの?)

智くんの傍に行き、智くんの視野の中に入る。


(僕を見て…僕はここに居るよ…)


貴方には、いつも 誰か傍にいた。


だから、近づけなくて…

でも、近づきたくて、
レッスンにだって、撮影だって休まず通った。

貴方に会えるかもしれない。

運良かったら、話せるかもしれない…

そんな、淡い感情を持った中学生のガキ…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ