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あなたの色に染められて

第37章 素直にI'm sorry

せっかくのお休みなのに素直になれない私はベッドの中でお昼近くまでウダウダしていた。

京介さんとケンカをして2度目の週末。

お義母さんから聞いた京介さんの想い。それは多少なりとも私の心を動かすものだった。

定時のチャイムが鳴ったと同時に京介さんを探したけど 商工会のの会合に出掛けてしまったらしく結局会うことは出来ずに開きかけた心の扉をまた塞いでしまった私。

『…眩し…。』

ベッド脇の窓から差し込む光は新緑に反射して

…今日だったら洗濯物パリッと乾いたなぁ…。

行動とは反対に考えることすべてが結局は京介さんのことばかりで

『…はぁ…。』

溜め息をついて空気を入れ換えようと窓を開けたとき 爽やかな春の風とともにスマホが鳴り響いた。

~♪~♪

『…もしもし…あっ幸乃さん。この間はすみませんでした。』

電話の声は先週お世話になった幸乃さん。

「聞いたよぉ まだ仲直りしてないんだって?」

受話器の奥の賑やかな歓声と金属バットの音。幸乃さんは私が大好きな場所から電話してきているようで

『球場ですかぁ。いいなぁ。』

わずかに本音もポロリと飛び出して京介さんのユニホーム姿を思い出していた。

「残念ながら京介くんは来てないけどね。」

忙しいもんね…呑気に野球なんかしてる場合じゃないか。

「あれぇ?その感じだと そろそろ京介くん不足なんじゃないのぉ?」

『ち…違いますよ…!』

彼女なのに京介さんのスケジュールもわかってないなんて。

「って言うか…璃子ちゃん知らないんだ?」

『はい?』

幸乃さんは受話器の向こうでクスリと笑うと

「大好きな彼はお家で寝込んでるって。」

『…え…。』

「愛しい誰かさんに構ってもらえないから熱出して死にそうなんだってさ。さっき パパのスマホにか弱い声で電話かかってきてたよ。」

『…うそ…どうしよぅ。』

先週 普通のご飯が食べたいって 疲れてるってそう言ってた。

それなのに 私ったら京介さんに自分の気持ちばかりを押し付けて

『幸乃さん…どうしよう。私のせいです…。』

私 京介さんの彼女なのに何やってるんだろう。

「早く行ってあげないとあの調子じゃ璃子ちゃん不足で本当に死んじゃうよ?」

気がつくと私は階段を駆けおりていた。

「ホントに世話のやけるふたりだな。」

幸乃さんが笑いながら電話を切った。

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