
あなたの色に染められて
第16章 クリスマスイヴイヴ
『あっ。ちょっと貸してください』
彼のパーカーを探して 素肌にワンピースのように着て バックを取りに行き
ベッドの上にちょこんと正座して プレゼントを差し出す
『俺にも?』
コクリと頷いて
小さな黒い箱に金のリボン。シュルっとリボンをほどいて
『…ネクタイピン?』
『ネクタイにしようと思ったんだけど ネクタイピンなら毎日付けていられるなぁって。』
『これ。俺の好きなブランドじゃん。』
シルバーのベースにゴールドのラインが施され ブランド名が刻まれたシンプルなピン
『つけてくれますか?』
『付けるよ。毎日付ける。』
『ホントに?』
『仕事中も璃子がそばに居てくれるってことだろ。』
俯いて ネックレスのトップをさわりつづけながら
『私たち同じですね。』
『ん?』
『そばに感じられるものをプレゼントしちゃうなんて。』
『…だな。』
ネックレスのトップに指をかけて
『ホントはね。毎日逢いたいの。京介さんに。声は聴けても 手は繋げないじゃない。』
彼は私の手を取り 指を一本ずつ撫でて
『俺もだな。こうやって触れたいもんな。』
『… くすぐったいよ。
……ネックレス ずっと大切にするね。』
『俺も。ありがとな。』
彼の胸に手を重ね 深いキスを交わした
『なぁ。璃子。ちょっとお願い聞いてよ。』
『なんですか?』
『帰るまでその格好で居てくんない?』
何を言い出すのかと思ったら
『へっ?京介さんのパーカーで?』
『すげぇ。男のロマンなわけよ。その格好。見えそうで見えないってヤツ。』
『なんですかそれ?』
男のロマン?
『それ着てからあげ作って。』
さっきまでの甘い時間はどこへやら
『えぇ~。』
『お願いだから。』
手を合わせて拝んじゃって
『下着はつけますよ。』
『……そこは我慢する』
うんうん。って頷いちゃって
『……エッチなことしない?』
『ちょっと触っちゃうかも。…ダメ?』
『おさわり禁止です!』
えぇ~。なんて口を尖らしちゃって
『じゃあ 我慢するよ』
でも素直に聞いちゃって
『今日は特別ですからね』
私も結局 聞いちゃって
『写メとっていい?』
『それはダメです!』
こんな甘えモードも私だけに見せる特権なんだ。
『璃子のケチ~。』
