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第6章 カオル
カオルが旅立って、
もう何年経つだろう。
ふとしたことから、
タカさんのことを目にした。
タカさんはJ-popの世界で
有名なアレンジャーになっていた。
さらに調べていくと、
誰もが知っているような曲の多くを
彼が手がけていた。
カオルは、このタカさんのこんな活躍を
知っていたのかな?
あの頃カオルは、こんなタカさんの才能を
いち早く見抜いていたのかな。
タカさんの曲をいっぱい聞いていたカオルなら、
世に出ているこの曲の前奏は、
この曲がルーツよ!なんて、話してるかもな。
今となっては、もう聞くことはできない。
ただ願うのはーー
その昔、地元で、
タカさんのバンドを、タカさんを、
一生懸命応援していた女の子がいたこと
カオルのこと
タカさんの記憶の片隅にでも
残っていればいいな。
それだけで、
カオルのあの淡い恋に、
色が挿すような気がするから。
でも、カオルは、
もう昔のことじゃないって、
笑うかもしれないけど。
Fin.
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