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甘く、苦く

第50章 お山【君のためにできること】

櫻井side



もういい加減
結婚してもいいんじゃないかな。


最近、そんなことばかり思う。

慌てる気持ちもあるんだろう。


「はぁ…。」

「翔ちゃん溜め息?
らしくないねぇ…。」


そう言って近付いてきたのは
お調子者の雅紀。


「俺だって人間なんだから
溜め息くらいするっつうの。」

「えー、あんまりしてないよ?
月一くらいじゃない?」


…それ、結構な頻度だと思うけど。


心を落ち着かせるために開いた新聞も
字ばかりでイライラしてきた。


「翔ちゃん、
リラックスリラックス。」


そう言って俺の肩を揉む雅紀。


…原因がわかった。


「お前が原因だな。」

「ええ!?俺ぇ!?」


いちいちばかでかい声を出すのも
いい加減やめてくれ…。


喉元まで出掛かった言葉を
俺は飲み込んだ。

出したらまた騒ぐから。


「そういや、ニノとリーダーは?」


雅紀がキョロキョロと
楽屋を見渡している。


「あー、あの二人仲良いし、
トイレでも行ってるんじゃない?」

「ふーん。

…翔ちゃんは妬かないの?」

「うん。妬かない。」

「…海のような心をお持ちで。」

「うっせ」


俺は雅紀にデコピンをして、
べーっと舌を出した。

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