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甘く、苦く

第48章 モデルズ【反比例・比例】







もういっそのこと、仮病でも使って
仕事を休んでしまおうか。


そんなことまで考えた。



けれど、喧嘩していても
潤に会いたくて。


ぼーっとしていたら、
ただ、時間が過ぎるだけ。


考えるより先に
動きたいタイプだから。



「よっこらせっと…」



リビングのソファーから
体を起こしてキッチンに行く。


冷蔵庫を開けてみても
なーんにもなくて。


…そりゃそうかあ。


潤の家でずーっと暮らしてたから
自分家なんて来てなかったもんな。


まだ賞味期限が切れていない
パンにバターを塗ってトースターにいれた。


…お腹、壊さないといいけど。



そんなことを思いながら
服を着替えていた。


……あ、そっか。


いつもなら潤の隣のクローゼットだけど
俺ん家なんだから、ある場所が違うじゃん。


自分家なのに、迷いそう。



「あ、あったあった。」



俺がジーンズを履いてたら
チーンってパンが焼けた音。

トースターから取り出すと
少し焦げていて。


まあ、それも美味しいからいいか。




…潤に送ってもらってたのに、
自分でいかなきゃいけないのか…。


なんだか寂しくなって、
車の鍵についたストラップを
ずーっといじっていた。

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