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甘く、苦く

第46章 磁石【move on now】session1






「二宮、冷めてるけどうまい」

「一言余計だよっ」



おにーさんの頭を叩く真似をした。



おにーさんは「暴力反対」って
俺の頬っぺたをつねった。



「いひゃいひょ…(痛いよ…)」

「悪い悪い」



赤くなった頬をさすった。



おにーさんは「食えよ」って
無理矢理口にスプーンを入れた。



「ほら、もっと食え」

「ま、まだ飲み込んでないっ」



おにーさんは俺の反応を楽しむかのように
スプーンを口に入れる単純作業を繰り返した。



…あれ?



これって、間接キス、じゃない?



そう思ったら顔が赤くなる。



「二宮?熱でもあるのか?」

「な、ないから!」



おにーさんが「ならいいけど」
って俺の頭を優しく撫でた。



…馬鹿。



心臓が、痛いよ…



「はー、食った食った」

「…おじさん臭い」

「所詮おじさんですよーだ
お前より10歳も年上なんだからな?」



そっか。



俺はまだ16歳なんだ…



おにーさんに大人として見てもらえるのかな…



きっとおにーさんの中じゃ
まだ子供なんだろうな…



そう考えたら、胸がきゅっと締め付けられた。

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