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甘く、苦く

第81章 お山【Now I'm ready.】




じゃあ、キスしようか。

なんて翔くんが確認をする。

「いちいち確認しなくていいよ。」

俺が笑うと、
そっと頬に手を添えられた。

「…智くん。」

「もー、なーに?」

顔が近付いてきたと思ったから、
目を閉じたのに。

ほんと、ムード壊すんだから。

「…来年も、一緒にいてくれる?」

「…っ」

思いがけない言葉に焦って
目を開いてしまった。

そうしたら、
少し悲しそうな顔をした翔くんがいた。


「…きゅ、急に変なこと言わないでよ。
翔くんから離れるなんて、絶対やだよ。」

頑張って絞り出した声。
バカみたいに明るい声。

無理してるの、バレバレだよね。


「…うん、ごめん…」


動揺を隠せないでいる俺に、
翔くんは申し訳なさそうに俯く。

…感情の浮き沈みが激しいんだから。

ちょっと呆れながら、
翔くんの肩を叩く。

「…キスしよ?」


もう、待ちくたびれちゃったよ。

だから、俺からしてあげる。

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