
甘く、苦く
第74章 お山【miss your voice.】session 1
「おーちゃぁん、」
「あ、雅紀。」
休み時間、俺に声をかけてきたのは
ニノがひっついた雅紀。
ニノはよって片手をあげるから、
俺も真似して片手をあげた。
「勉強の進み具合、
どんな感じ?」
「っあ、えと、…ぼちぼち、かな…」
「そう?わかんないことあったら、
また勉強会開こーよー」
「んー、どーしよかなぁ。
また暇だったらね〜」
「智なんていつも暇じゃん。」
「んなっ、ニノ!」
ニノの頬をぐりぐりと
撫でくりまわして
口を聞けなくしてやった。
ぶーっと口を尖らせて、
雅紀の腰に巻き付くニノ。
「も、雅紀、」
「ん?なぁに?ニノ」
「智とばっか話してないで、
俺とも話してってばぁ…」
瞳をうるうるさせて、
雅紀を見上げるニノ。
男がするような仕草じゃないけど
ニノがやってたら不覚にも、
ドキッとしてしまう。
「んふふ、ニノちゃんはかわいーなぁ♡」
そんなニノにでれでれの雅紀の顔も
十分可愛いと思うけど。
…なんていうのは、
秘密秘密…。
