
DAYS
第37章 secret OANM×S
ずるいとは分かってるけど、
渡すわけにはいかない。
「翔くん、ちょっといい?」
「どうした?松潤。」
「演出のことでちょっと。」
「あ、分かった。
行ってくるね。」
…嬉しそうな顔してんなよ。
松潤の方に、また軽い足取りで
行ってしまう翔くんの背中を見る。
「はぁ…。」
ため息が漏れてしまった。
さっきまですぐそこにあった
温かさがなくなって、何だか淋しい。
「何ため息なんてついてんですか。」
ゲーム機に目を向けたまま、
俺に話しかけてきたのはニノ。
下を向いたままだから、表情までは
伺えないけど、きっとしたり顔だ。
翔くんと俺が離れたんだから。
その証拠に、どこか声の調子も軽い。
「別に、何でもない。」
「何でもないのにため息つくって。」
他にすることないの?なんて茶化す
ニノに少しムッとする。
けどここは耐える。
空気がこれ以上悪くなることだけは
何としてでも避けたい。
なんて、俺が言えたことじゃないか。
俺が空気を壊したようなものだ。
暖かくて、居心地のよかった
あの5人の空気を。
でも、それを壊してまで翔くんが欲しかった。
魔性なんだよ。翔くんは。
俺に何もかも分からなくさせる魔性。
