
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
M side
『土曜日の夜、ご飯でもどう?』
そんなメールが来たのは、
もう3日も前のことだ。
今日は土曜日。
メールの差出人は、翔くん。
「ふぅ…。」
ただ食事に行くだけ。
それだけなのに、心臓がどきどきと煩い。
こんなに緊張してる理由は
自分でもよく分かっているつもりだ。
これは、きっと恋だと思う。
翔くんとは、同じ大学だった。
同じ学部で、たまたま同じ講義の時に
隣の席になったところからの関係。
今は2人とも就職して、
会社勤めをしているけど、あのころから
ずっと連絡を取り合ってる。
久しぶりの翔くんからのメールの内容が
食事を誘うものだった。
これまでのパターンからみて、
翔くんが食事に誘う時は、決まって
好きな人が出来た時か、失恋した時だ。
「…好きな人、出来たんだな。」
直感でそう思った。
仕方ない。
翔くんは格好いいし、仕事も出来る。
そんな人を、女子が放っておく訳ない。
こんな気持ちを持ってたって、
苦しいだけ。
翔くんに会うたびに、胸の締め付けは
ひどくなる一方で。
その痛みを感じるたびに
翔くんへの気持ちの大きさを痛感させられて、
結局この気持ちを捨てることが出来ない。
約束の7時までは、あと数時間。
今日は翔くんが通ってる、
変わった店主のお店に連れて行って
くれるって言ってたな…。
翔くんのテリトリーに、
また1つ踏み込めるのが嬉しい。
そう感じる俺は、まだ当分は
この気持ちから抜け出せないんだ。
