
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
俺の髪を、さらさらと指で
撫でながら優しい瞳で俺を見てる。
「だから…。明日もあるだろって。」
「分かってるよ、でも…。」
デジタル時計は、3時を示してる。
これじゃあ、明日の仕事に
響くってのは嫌というほど分かる。
自分の仕事には代わりがいなくて、
体調の崩れは周りに迷惑をかけることも。
「明日も仕事だけどさ…。
言っただろ?俺、ここに住むって。」
「あ…。」
翔が、寝室の入口を指さしながら言う。
思い出した。
翔が大量の荷物とともに、来たって事を。
「リオに行くための荷物も、
パスポートも全部持ってきたから。
この前のオリンピックでさえ
あんなに寂しがってたんだからさ、
今回は何かしなきゃと思ってて…。」
地球の反対側に行っちゃうから。
翔の言葉で思い出す。
そして、また湧いてくる「寂しさ」
「ここから仕事に行って、
ここに帰ってくれば、今よりも
ずっと一緒にいられるだろ?」
「…っ、うんっ。」
そっか…。一緒にいられるんだ。
朝起きたら翔がいて、
帰ってきても翔がいる。
そんな生活をどれほど夢に見てたか。
さっきまでとは違う、暖かい涙が
頬を伝って落ちてく。
「それなら少しは寂しくないかなって…。
それにさ?」
俺の奥さんになったら、
一緒に住んでもらうからさ。
その予行練習になるでしょ?
耳元で囁かれた言葉に、
もっと涙が止まらなくなったのは
言うまでもない。
そして、3日間、甘い甘い毎日を過ごして。
翔はリオへと飛び立った。
そして気が付く。
「一緒に住んでたあとのほうが
寂しいに決まってんじゃん…。」
今日も1人、翔の残した香りを
抱いて眠りにつく。
せめて夢で会いたくて…。
翔が帰ってくるまであと4日。
-end-
