
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
部屋に流れる沈黙。
時計の秒針が刻む音だけが響く。
心臓の鼓動がうるさい。
俺は、何も言えずにただ下を向いた。
顔を上げれば、必ず雅紀と目が合うから。
雅紀は絶対に俺を見ているから。
ここで目を見れば、
きっと言ってしまうから。
自分の気持ちを…。
そんなのダメだ。
これまでの努力が、すべて無駄になる。
ごまかしてた自分の気持ちも、
そのための努力も全部…。
沈黙を破ったのは、雅紀の方だった。
「なんか…ごめん。
こうなるって分かってたから、
言わないっりだった…。
困らせたくないし、ずっと近くで
居てほしいから。
だけど…どうしても伝えたくて…。
我慢出来なくなってた…。
好きなんだ。」
真っ直ぐで、正直な雅紀のことだから
きっとたくさん悩んだんだと思う。
不器用なくらい真っ直ぐで、
バカみたいに正直で、
自分にも他人にも嘘がつけなくて…。
現に、今だって泣きそうな顔をしてて。
違うんだ。
こんな顔をさせたくなかった。
こんな顔をさせたくて、
俺は気持ちに鍵をかけた訳じゃない。
ただ笑って欲しかったんだ。
2回目の告白。
2回目の好きって言葉。
さっきよりも震えた声での言葉。
こんなにもストレートな雅紀を見てると、
必死に隠そうとしていた俺がバカだと
思えてくる。
「和も…。
同じ気持ちじゃないの?」
「え…?」
「同じ気持ちでしょ?
俺のこと、好きでしょ?」
核心をつく発言に、黙りこくってしまう。
そうだよ、同じ気持ちなんだよ。
「何に躊躇ってるのか、だいたい分かるよ。
ねぇ、和。
好きってだけじゃダメなの?
和のこと好きになった俺と、
俺のことを好きな和は、
何か間違ったことでもしてるの?」
