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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡






N side



深くは考えたことはない。

だけど、俺はかなり前から
雅紀のことが好きだと思う。


いや、正確には、深く考えたく
なかったのかもな。


意識すれば、普通じゃいられなくなるから。

この距離が遠くなってしまうかも
しれないから。




雅紀の家と俺の家は隣同士で、
生まれた時からの仲だった。


「かーずくん。」

あの頃から、笑顔は真っ直ぐで。
眩しくて。


人見知りの激しい俺といつも一緒に
いてくれたお陰で、俺にも友達が出来た。


小学生も、中学校も同じ。

高校だって、雅紀に合わせて、
バスケットの強豪校に行った。

スポーツ推薦で行く雅紀と違って、
一般で受けた俺は苦労した。
苦しかったけど、
レベルが高かったのも、乗り越えた。

それもこれも、雅紀を追いかけるため。

誰よりも雅紀の近くにいるため。


高校に入ってから、
俺らの距離はさらに縮まった。

だってね、


「かずー…。」
「また?」
「うっ…。」


雅紀は、決まって俺に
勉強を教えてとねだってくるから。


「あと3日でテスト始まるのに、
ぜんっぜん分かんないよー…。」


さらさらの髪の毛を、
ぐしゃぐしゃっと掻き回してる。


「授業中寝てるからだろ?」
「う…っ。

だって部活が大変でさぁ…。」


さすが強豪校だけあって、
テスト期間もお構い無しに
部活があるらしく、かなり参っている様子。

これもいつものこと。

だから、

「仕方ないなぁ…。

じゃあ、9時に俺の部屋に来いよ。
それでいい?」
「やったぁー!和ありがとー!」


俺の好きな笑顔を残して、
雅紀は部活へと向かった。


その笑顔を見ただけで…。


初恋は、もうずっと現在進行形だ。

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