
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
O side
世間では、もう結婚適齢期と
言われる俺たちの年齢。
ダイニングテーブルに、新聞を広げて
真剣に読む翔くんの横顔を見ていて、
ふとそんなことを考えた。
こんな事を考えてる時でも、
翔くんの横顔はやっぱり格好よく見える。
というか、格好いいんだ。
翔くんに気が付かれないように、
ふぅっと小さく息を吐いた。
翔くんと付き合うようになって、
もう12.3年が経っている。
付き合い始めたあの頃…。
20代の頃は、若かったんだ。
ただ好きって気持ちだけで
翔くんと付き合って。
後先、何も考えずに
ただただ自分の気持ちに素直で。
「ずっと一緒にいようね」
「好きだよ」
「愛してるよ」
こんな言葉、簡単に言えた。
こんな言葉を、ずっと信じてこれた。
だけど…。
俺も…、俺たちも大人になった。
もちろん、
好きだって気持ちに変わりはない。
むしろあの頃よりも、ずっと深い愛だ。
でも、その気持ちだけでは
うまくいかないことの方が多いような
気がしてくる。
俺の親は、何も言わない。
「お前の好きなようにしたらいい。」って。
結婚して、孫の顔を見せろだのは
一切言わなかった。
だけど…。翔くんの家族は厳しい。
いや、きっとそれが一般的なんだ。
俺の家族が変わってる。
同性愛は、世間では白い目で見られる。
年齢的にも、結婚を急かされる。
そんな歳になって改めて気が付く。
翔くんの存在の大きさ。
翔くんの将来を考えれば、
手を引くべきなんだと思う。
でも、もう後戻りなんて出来ないくらい
翔くんを愛してしまった。
…ごめんね?翔くん。
