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DAYS

第32章 オールリクエストshort story♡





S side



電気もついていない、真っ暗なリビングの
ラグの上で、小さく丸まって座ってる。



「さーとしくん。」
「…何?」


少々…というか、がっつりご機嫌が
斜めになってる智くん。

頬をぷくっと膨らませて、怒ってる風。


「まだ怒ってるの?」
「…俺が、何かちっせーみてぇじゃん。」


その通りだよ、って言いたくなるのを
寸でで呑み込んだ。



智くんがこうなったきっかけは、
大したことではない。

俺から言わせてみれば、だけど。


ご飯も食べ終わって、
お風呂にも入って、寝室に行って…。

そりゃ、恋人同士だし
そういう雰囲気にもなる訳で。


今日は特に、智くんが何だか素直に
甘えてくるもんだから、堪らずに
深いキスをした。


どうも、それがダメだったみたい。


智くん曰く、

「キスは、それからじゃ嫌だ!」だって。


初めは訳が分からなかった。

だって、キスしたら怒られたんだよ?


「じゃあ、キスしたくないの?」

って、少しイライラしながら聞いたら


「…そういうことじゃない…。」


少し瞳をうるうるさせて、
きゅっと唇を噛んで。

智くんは、寝室を飛び出した。


そして、現在に至る。


問いかけて返ってくるだけいい方だけど、
そろそろ俺だって怒りたくなる。


「ねぇ、智ってば。
俺、言ってくれなきゃ分かんないよ。」


智くんの肩をがっと掴んで
顔を上げさせると、

泣いてた。


静かに。ポロポロと。

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