
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
M side
ずっと、ずっと好きだった。
「まちゅじゅーん。」
「リーダー、言えてねーよ。」
ごめんごめんって謝りながら、
へらって笑うこの人が好きだった。
昔から変わらず、今も好きだ。
好きだからこそ分かる。
ずっと見てるから分かる。
最近、大野さんが無理してることに。
「眠たいなら、俺の隣来る?」
「うん。そうする。」
収録前の楽屋。
来て早々、とろんとした瞳の大野さんを
見て、すぐに分かった。
眠れてないってことに。
そんな大野さんに気が付いたのは、
もう1ヶ月ほど前だと思う。
ドラマの撮影が始まって、
そんなに日が経っていない時だった。
そこから大野さんは、
以前に増してずっと眠たそうで。
何か無理しているようで。
それに気が付いてからは、
楽屋の畳のスペースで過ごすようにした。
そうすれば、大野さんに
「ここで寝なよ」って言えるから。
それを口実に、少しでも大野さんの
近くにいることが出来るから。
今日も、ごろんと横になってから
5分もたたずに眠ってしまった大野さん。
まだ少し痩せたよね。
ご飯、ちゃんと食べてんのか?
そんな心配を寝顔にかけたところで、
何にも返事はない。
こんなに近いのに、埋まらない。
こんなに近いのに、触れられない。
踏み出す勇気ときっかけを
ずっと待っているだけの俺。
ただただ情けなかった。
ドラマのセリフも上の空。
大野さんの隣にいて、
入ってくる訳ない。
