
DAYS
第32章 オールリクエストshort story♡
「熱い…。」
「すぐに扇ぎます。」
「逆上せた…。」
「冷たい飲み物取ってきます。」
ぴゅーっと、全速力で
キッチンのほうに駆けていく翔の背中を
ぼやーっとする視界で見てた。
面白いよね、翔。
確かに逆上せちゃったけど、
翔のせいだけじゃないし。
むしろ煽ったの俺だし。
さっきまでは、あんなに格好よく
俺の中を突いてたのに。
ね?
「はい、和。飲んで。」
翔が持ってきたのは、スポーツドリンク。
甘いし、むしろ喉が乾くから
普段はあんまり飲まないんだけど、
家には常備されてる。
何でかって?
こういうことが頻繁にあるから、ですよ。
逆上せちゃうことが。
翔が、なかなかボトルを受け取らない
俺を心配してオロオロしてる。
「ねぇ…。」
「どうした?そんなに具合悪い?」
「翔が飲ませて…?」
少し口を開けて、翔を誘い込む。
そんな俺の姿ですぐにピンと来たのか、
ボトルを開けて口に含むと、
ゆっくりと俺の口の中に流し込んでくる。
飲みきれないものが、首筋を伝う。
冷たさで、思わず体が跳ねた。
すぐに離された唇。
それが何だか無性に寂しくて。
「翔、もっと…。」
翔の胸元のシャツを掴んで言えば、
「バカ…。
止まんなくなるだろ。」
眉毛をきゅっと下げて、
困り顔の翔。
「いいから…。
体が熱いんだもん。
足りないんだもん。
ね?ちょうだい?」
「困ったお姫様だなぁ…。」
そんな俺が好きなクセに?
夜は長いんだから。
うーんと楽しまなきゃ。
俺だけ見て。
あなただけ見るから。
夜が更けても、朝が来ても。
ずっと。
-end-
