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桜並木を見おろして【ARS・O】

第9章 小春食堂

「お、大野さんっ!」

大野さんは、目を点にして立ち尽くしている。

「小春さんって…、実はよくしゃべるんだね。」

私は真っ赤になった。

「これさ、京都に行った時にタケシから預かったんだけど、渡すの忘れてて…。」

大野さんは、紙袋を私に向かって差し出した。

「なにっ、お前小春ちゃんと京都に行ったのか!それにタケシって誰だ!」

潤くんがすっ飛んできて大野さんの胸ぐらをつかんだ。

「なんだよいきなり。一緒に行ったけど、それがどうかした?」

大野さんは、目を白黒させて答えた。

「やめて!」

私は潤くんを突き飛ばして、大野さんを助け起こした。

「大野さん、大丈夫?」

「小春さん、なにあの人?」

「こ、小春ちゃん、こいつと京都の実家に行ったのか!?」

潤くんが、また勝手に勘違いして怒りにうち震えていた。

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