
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
――川端 駿side――
…柚原さんの雑誌の撮影を引き受けるとき彼女はこう言った。
「ナミにいいとこ見せられたら、意識してくれるかもよ?」
それを聞いて俄然ノリノリで始めたのは俺だけじゃなく、
「やります」
と即答した岡崎さんもだった。
でもやっぱりカメラの前は緊張して。こんなプレッシャーに勝って服のイメージを伝えられるプロは凄いと思った。
「…うーん、動きが硬いわね。川端!あんたをモデルにしたのは仕事帰りを強調したかっただけだから、気負いすぎないでよ?」
数枚撮ったあと、柚原さんにそう言われてからは割とちゃんとしたのが撮れたと思う。
カシャ、カシャッ
カメラマンさんの指示を聞きながら2階を気にしていた。
(幸村、早くでてこないかな?)
嫌がらせを受けているというアイツは、弱音なんて吐いたことがない。
だから、周りの人間は強いやつだと思い込む。
人肌が恋しかったのか、俺を求めた日を思い出す。
顔は火照り、瞳は潤んで、その姿はひどく扇情的だった。
(俺には…強がるんじゃねーよ…)
