
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
―柚原さんについて階段を降りていくと、カメラマンらしき男が彼女に駆け寄ってきた 。
「どこ行ってたんすか!〆切ギリだし、いいの撮れないしでバタバタしてるってのに!」
「それはごめんなさい。でもいい写真が撮れないのは、あんたの責任だからね?」
……自分の上司、いや仕事の関係者じゃなくてよかった。
きっと仕事が出来るからわがままも許されるんだろうが。
「うっ…でも、見てくださいよ、コレ」
連れていかれた柚原さんを横目に俺と川端は壁際に寄った。
「…自分の上司じゃなくてよかったです」
川端も同じことを思ったらしい。
「全くだ…あれでお前らと同年とは思えない」
俺より年上じゃないかってくらいの余裕と行動力。
さすが、幸村の友人だな。
バタバタしているスタジオを眺めていると、柚原さんがこちらに向かってくる。
…今度はなんだ?
「ちょっと、2人とも手伝って!」
…こっちが断ることは頭にないのか?
有無を言わせない口調で俺と川端は連行された―――
