
誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
とりあえず男2人に降りてくるように指示して、ナミが向かったはずの部屋にスーツを持って急ぐ。
さっき川端に挨拶に向かう時間を確認したら、岡崎さんて人の運転のおかげで
予想以上に早く来られたとかで、30分以上の余裕はあるそうだ。
それにしたって早いに越したことはないだろうと、ナミにスーツを渡すと見つめたまま黙ってしまう。
私が話しているのもたぶん聞こえていない。
「…ミカちゃん、そろそろモデル顔負けのイケメン2人が入口に来るはずだから、
この部屋の隣に通しといて」
「…その人たち、モデルじゃないんですか?」
「違うわ。……あぁでも、もしかしたら使うかも」
「……。ユズさんの "もしかしたら" が一番嫌だって、この前言いましたよね?」
「そうだった?まぁ、とにかく頼むわ」
自分が人遣い荒いのなんて百も承知だけど、今はとにかくナミが優先。
ミカちゃんはため息をついてから部屋から出ていった。
「……ナミ、聞いてるの!?」
肩を強く叩くと俯いていた顔がビクッと上がる。
さっきはちゃんと見なかったから分からなかったけど、顔色は悪く、
前に会ったときより少し痩せている気がする。
