歌に載せて
第8章 Lotus
俺は十六年前に
二宮 多美子の元に生まれた
多美子は若くて綺麗で男に相当モテていて
その美貌を利用して
男どもからあらゆる金品を
騙し取っていたらしい
だから父親はわからない
その仕事の都合上俺は母親のことをママともお母さんとも呼ぶことを許されず
「多美子ちゃん」と呼ぶことで
俺を年の離れた弟としていた
そして俺が11歳になるころ
多美子ちゃんはとある私立の学校の経営者と結婚したのだ
俺の目にはふたりは本当に仲が良くて多美子ちゃんがやっと苦労しないで幸せに暮らせると
嬉しかった
でも、ある時多美子ちゃんは
忽然と家から姿を消した
浮気をしていたのだ
するとそれまで俺に優しく接してくれていた義父は変わった
やさしいことに代わりはないのだがその目は子を見つめるような視線では無かった
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